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クリニカルイナーシャ

クリニカルイナーシャって言葉をご存知ですか?
直訳すると「臨床の惰性」になりますね。臨床は一度動き出すとはずみがついて、なかなか方向転換が難しいという状態を表した言葉になります。

「大丈夫ですか?、何か変わりはないですか?」
「特に何も変わりないです、調子良いです。」
「それでは同じお薬を出しておきますね、お大事にしてください。」
私たちのクリニックで本当によくある会話で、お互いに普通に幸せな感じで診療終了になります。これをクリニカルイナーシャの状況と言います。日常診療で普通に生じていて、患者側も医療側も割と満足しているということになりますね。

ただ、医療の世界は常に進歩していて、今までの状況が大きく変わることは珍しくありません。また、患者さんの状況も日に日に変わっていくわけですから、同治療をずっと続けていくことはできない、少なくともより良い方法が無いのかを検証する努力が大切だと思います。
そしてそういう方法があるのだったら、厄介ではありますが、思い切って今までの治療法を変えていく必要があると考えています。